クリニックを開設するには?
2025年10月16日 10:59
🩺 1. 「クリニック」とは?
法律上は「診療所(しんりょうじょ)」と呼ばれ、入院患者が19人以下の医療施設を指します。
医療法第1条の5第1項
「診療所とは、医師または歯科医師が公衆または特定多数人のために医業を行う場所であって、入院施設を有しないか、または19人以下の入院施設を有するもの」
つまり、
🏥 病院=20床以上
🏠 診療所(クリニック)=19床以下または無床
⚖️ 2. 開設できる人の種類
👨⚕️ 個人の医師が自分で開くなら「届出」、
🏢 法人として開くなら「許可」が必要になります。
🧾 3. 開設までの主な流れ(一般的な個人開業の場合)
STEP ①:物件選び・用途確認
用途地域が「医療施設可」かどうかを都市計画上確認。
建物が建築基準法・消防法に適合していること。
共同住宅やテナントビルの場合、大家・管理組合の承諾も必要なことがあります。
STEP ②:図面・設備を設計
診療所のレイアウトを決め、保健所の構造基準に適合させる。
(例:待合室・診察室・処置室・トイレ・手洗いなど)
医療法施行規則第1条の4
診療所には「患者の待合、診察、処置に必要な構造設備」を備えなければならない。
STEP ③:保健所へ事前相談
管轄保健所に事前相談を行うのが一般的。
図面や計画書を持参し、構造・動線・衛生基準の確認を受けます。
消防設備の確認も同時に行うことが多いです。
STEP ④:開設届の提出
保健所に「診療所開設届」を提出します。
開設届の提出時に必要な主な書類は次のとおりです👇
🧩 提出書類例
診療所開設届
管理者(医師)の免許証コピー
施設の構造設備概要書
平面図・案内図
賃貸契約書(賃借の場合)
消防法令適合通知書
医療機器リスト
開設者の身分証・印鑑証明
📍 提出先:所在地を管轄する保健所(都道府県・政令市)
STEP ⑤:保健所・消防署の立入検査
提出後、保健所と消防署による現地確認があります。
構造や衛生面、動線、消火器・報知器の設置状況などをチェック。
問題なければ開設届が受理され、開設証明書が発行されます。
STEP ⑥:保険医療機関の指定申請
健康保険証での診療を行う場合、
**社会保険診療報酬支払基金(支払基金)**へ申請。同時に、**厚生局(地方厚生支局)**に「保険医登録申請」も提出。
これで保険診療が可能になります。
STEP ⑦:その他の関連届出
労働基準監督署 → 労働保険関係成立届
ハローワーク → 雇用保険適用事業所設置届
税務署・県税事務所 → 開業届、青色申告承認申請
医師会・保険医協会などへの加入(任意)
🏢 4. 医療法人で開設する場合
医療法人(例:〇〇クリニック医療法人)を設立して開く場合は、
都道府県知事の「開設許可」が必要です。
流れは:
1️⃣ 医療法人設立認可申請
2️⃣ 登記
3️⃣ 開設許可申請
4️⃣ 保険医療機関指定
個人より手続きが複雑で、許可に2〜3か月かかるのが一般的です。
🩵 5. まとめ
自宅やテナントでクリニック(診療所)を開設するには、
医療法に基づく開設届または許可申請
消防・建築基準などの施設要件の適合
保健所・消防署による現地確認
保険診療を行う場合の保険医療機関指定
これらをすべてクリアすれば、
正式に「クリニック」を名乗って診療を始めることができます。
<お問い合わせ>
富森行政書士事務所
行政書士 富森翔太
〒131-0033 東京都墨田区向島1丁目28-3 田中ビル302
TEL 080-5803-2182